海外取引における輸出と消費税免税(税金)について
海外取引における輸出と消費税免税(税金)について
輸出免税とは?
海外輸出する商品に消費税(税金)を課さない制度のことです。セラー(販売者)が国内で商品を仕入れて輸出する場合、仕入れ時にはもちろん消費税を支払います。しかし輸出先である海外からは、税法上日本の消費税を徴収できないため、課税事業者が所定の税務手続きを行えば仕入れ時の消費税が還付(返却)されます。
詳しくは国税庁(National Tax Agency) ウェブサイトの「No. 6551 輸出取引の免税」をご覧ください。
輸出免税が適用される商品とは?
免税される輸出取引の範囲ですが、課税事業者が次のような輸出取引等を行った場合、消費税(税金)が免除されます。
1. 国内からの海外輸出として行われる資産の譲渡又は貸付け(典型的な輸出取引)
海外販売の場合、主に上記2つが輸出免税の対象となります。
説明は難しいですが、基本的には「輸出する品物」に対して適用されるのが輸出免税です。
輸出免税(消費税還付)が適応される対象
消費税の還付を受けるためには、消費税課税事業者であることが条件となります。消費税課税事業者は、次のように定義されています。
1. 事業年度の前々事業年度(基準期間)における課税売上高が1,000万円を超える法人事業者
2. 前々年の暦年における課税売上高が1,000万円を超える個人事業者
※既存の消費税課税事業者は、所轄の税務署長へ「消費税課税事業者届出書」を提出する必要があります。
3. 基準期間の課税売上高が1,000万円以下の免税事業者
※新設会社のために売上実績のない法人事業者および個人事業者が課税事業者として還付を受けるためには、所轄税務署長に「消費税課税事業者選択届出書(第1号様式)」を提出する必要があります。
例えば、セラー(販売者)が10,000円で材料Aを国内で仕入れる場合、800円の消費税を負担しています。
・10,000円×1.08(消費税8%)=10,800円
その後、材料Aを使って制作した製品Bを20,000円で海外に輸出しますが、海外からは消費税(税金)を徴収できないので、支払われるのは20,000円だけです。(※ 出品・落札手数料等は考慮せず)
今回のケースでは、免税(還付)の対象となるのは「材料Aを仕入れた時に支払った消費税800円」です。海外販売で多くの商品を取り扱うセラー(法人等)にとっては、消費税還付の影響は大きくなるので輸出時の税務手続きを必ずご確認ください。
輸出免税を受けるために必要な証書とは?
消費税の還付申請書類
A. 法人課税事業者
課税期間の末日の翌日から2カ月以内に、下記書類を所轄税務署長へ提出し、還付申請します。
- 「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」
- 「仕入控除税額に関する明細書(法人用)」
- 「付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書」
B. 個人課税事業者
課税期間の翌年3月末日までに、下記書類を所轄税務署長へ提出し、還付申請します。
- 「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」
- 「付表2 課税売上割合・控除対象仕入税額等の計算書」
C. 消費税課税事業者が、海外輸出取引と国内取引を併営している場合
還付消費税と納付消費税の両方が発生します。その還付税額と納付税額は、上記の「課税期間分の消費税および地方消費税の確定申告書」の中で同時申告され、還付税額と納付税額が相殺されます。
消費税税課税事業者はその差額を還付分として得る、もしくは納付します。
輸出の際、免税の適用を受けるために必要な証明書類
輸出免税の適用を受けるためには、その取引が輸出取引等である証明が必要となります。輸出取引等の区分に応じて輸出許可書、税関長の証明書、又は輸出の事実を記載した帳簿や書類を整理し、納税地等に7年間保存する義務があります。
輸出免税される輸出取引等の区分 |
保存が必要な書類 |
上記1のうち郵便物として輸出する場合(当該資産の価額が20万円以下の場合) |
帳簿又は書類 |
上記1のうち郵便物として輸出する場合(当該資産の価額が20万円を超える場合) |
輸出許可書 (税関長が証明した書類) |
上記1のうち輸出の許可を受ける貨物の場合 |
輸出許可書 (税関長が証明した書類) |
上記2の取引の場合 |
帳簿又は書類 |
関連情報:免税される輸出取引は?(PDFファイル:国税庁ウェブサイトより)
輸出免税等の範囲(国税庁ウェブサイト)